最終更新: 2026年10月22日 | 監修: 天丸製薬 製造技術グループ
苦い、えぐい、粉っぽい。健康食品の味の問題は、フレーバーを足せば解決すると思われがちですが、そうではありません。本記事では、マスキングで何が消せて何が消せないのか、設計の順序はどうあるべきかを整理します。
💡 マスキングは、別の味で覆う技術であって、味を消す技術ではありません。苦味・渋味・金属味といった不快な味は、甘味や酸味、香りで知覚を上書きすることで目立たなくします。このため配合量が増えると覆いきれなくなり、フレーバーを強くすると今度は香料臭が立ちます。実務では、マスキングで対応できる範囲を見極め、超える場合は剤形の変更を検討します。
⚡ この記事のポイント
- マスキングは覆う技術。消す技術ではない
- 苦味は甘味より持続が長く、後味に残りやすい
- 配合量が増えると覆いきれない。量的な限界がある
- 粉っぽさ・溶け残りは味ではなく物性の問題
- 覆いきれない場合は、剤形変更が最も確実
覆う技術であること
甘味を足すと苦味が和らぐのは、苦味がなくなるからではありません。より強い刺激で知覚が上書きされるためです。
この性質から、いくつかの制約が生まれます。
- 量に比例しない──苦味が2倍になったとき、甘味を2倍にすれば釣り合うわけではありません
- 後味に出る──苦味は甘味より持続が長いため、飲んだ直後は良くても後から苦味が残ります
- 甘味が強すぎると別の不快になる──くどい、人工的という評価に変わります
味の種類で対処が違う
| 不快な要素 | 主な原因 | 対処の方向 |
|---|---|---|
| 苦味 | アミノ酸、一部のビタミンB群、エキス末 | 甘味+香り。柑橘・ココア系が相性よい |
| 渋味 | ポリフェノール、タンニン | 甘味では消えにくい。乳成分が効く場合も |
| 金属味 | 鉄、亜鉛、一部ミネラル | 酸味で和らぐことがある。コーティングも選択肢 |
| 青臭さ | 植物原料、クロレラ・青汁系 | 抹茶・ほうじ茶系で方向を揃える |
| 油っぽさ | 魚油、MCT | 🔴 味ではなく物性。カプセル化が確実 |
| 粉っぽさ | 溶解性の低さ、粒度 | 🔴 味ではない。造粒や粒度調整で対応 |
最後の2つが重要です。油っぽさと粉っぽさは味の問題ではありません。フレーバーをいくら足しても改善しません。物性の問題として、工程側で対応します。
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方向を揃える
フレーバーの選択で効くのが、素材の方向と揃えることです。
青汁系に苺フレーバーを足すと、青臭さと果実感が喧嘩して、どちらでもない味になります。抹茶やほうじ茶の方向であれば、元の青さを「お茶らしさ」として取り込めます。
- 植物・青臭い系 → 抹茶、ほうじ茶、ミント
- 苦味の強い系 → ココア、コーヒー、柑橘
- 乳・たんぱく系 → バニラ、バナナ、きなこ
- 酸っぱい系 → ベリー、レモン
「隠す」のではなく「その味であることにする」方向に持っていくと、不自然さが減ります。
限界を超えたら剤形を変える
配合量が増えて覆いきれない場合、最も確実な解決は味を感じない剤形にすることです。
| 剤形 | 味の問題 |
|---|---|
| 粉末・分包 | 🔴 直接口に入る。味の設計が最重要 |
| チュアブル | 🔴 噛むため味が全面に出る |
| 錠剤(飲み込む) | 🟢 ほぼ気にならない |
| ハードカプセル | 🟢 中身の味が出ない |
| ソフトカプセル | 🟢 油性成分の味を封じられる |
「飲みやすさ」を理由に粉末やチュアブルを選んだのに、味が原因で飲まれなくなるのでは本末転倒です。なぜその剤形なのかを企画段階で確認すると、判断がしやすくなります。
評価の進め方
味の評価は主観が入るため、進め方で結果が変わります。
- 初回に複数パターンを作る──甘味の強弱、フレーバーの方向を変えた2〜3種
- 評価者を決める──対象年齢層に近い人が望ましい
- 評価シートを使う──口に入れた直後/飲み込んだ後/10秒後で分けて記録
- 決定者を1人にする──意見が割れると次の方向が定まらない
- 基準を現物で示す──「市販の〇〇くらい」が最も伝わる
3番目の「後味」を分けて記録するのが要です。苦味は遅れて出るため、直後の印象だけで判断すると後から問題になります。
よくある質問
Q. 砂糖を使わずに甘くできますか?
A. 糖アルコールや高甘味度甘味料で対応できます。ただし甘味の立ち上がりや後味の残り方が砂糖と異なるため、同じ味にはなりません。方向性を決めて設計します。
Q. 無香料にできますか?
A. 可能ですが、素材の味がそのまま出ます。苦味の強い成分では、飲みにくさが継続率に影響する可能性があります。無香料を訴求するなら、剤形の選択で対応するほうが現実的です。
Q. フレーバーを増やすと原価は上がりますか?
A. フレーバー自体の原価は配合量が少ないため影響は限定的です。ただし味の種類を増やすと、味ごとに段取りと清掃が発生するため、製造コストは上がります。
Q. 試作の味が量産で変わることはありますか?
A. 混合の条件が変わると、フレーバーの分散状態が変わることがあります。量産移行時には味の確認工程を入れます。
味は試作で詰めます
マスキングで対応できる範囲か、剤形を変えるべきか。企画段階から一緒に判断できます。
- ✅ 初回試作で複数パターンを比較できます
- ✅ 覆いきれない場合は剤形変更も率直にご提案します
- ✅ 錠剤・チュアブルは自社工場で製造
- ✅ 初回小ロット100個から、強引な営業なし
関連ページ:粉末・顆粒のOEM製造 / 錠剤のOEM製造 / 見積もりシミュレーター
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