最終更新: 2026年10月21日 | 監修: 天丸製薬 製造技術グループ
「分包のほうが高い」と言われます。確かに1包あたりの包材費はボトルより高いのですが、製品1個あたりで比べると逆転することがあります。本記事では、どの数量でどちらが有利になるかを、構造から整理します。
💡 ボトルと分包のコスト差は、比べる単位によって逆転します。1包あたりで見れば分包が高く、製品1個あたりで見ればボトルのほうが容器単価が高いことがあります。さらに配送費・保管費・返品率まで含めると、総コストの順位が変わることもあります。「どちらが安いか」は数量と販売形態を決めてからでないと判断できません。
⚡ この記事のポイント
- 1包あたり/製品1個あたり/1回分あたりで順位が変わる
- ボトルは容器単価が高く、分包は充填工程が効く
- 配送費は体積と重量で決まる。分包が有利になる場面がある
- 見積りを取るときは「製品1個あたり」で揃える
- 定期購入では継続率が包装形態で変わることがある
比べる単位で順位が変わる
同じ中身を90日分売る場合を考えます。
| ボトル | 分包 | |
|---|---|---|
| 製品の構成 | 180粒入りボトル 1本 | 1包2粒 × 90包 |
| 容器・包材の数 | ボトル1+キャップ1+ラベル1 | 包材90+外装1 |
| 充填の回数 | 1回 | 90回 |
| 包装費の傾向 | 容器単価は高いが点数が少ない | 1点は安いが点数が多い |
ボトルは容器そのものの単価が高く、キャップ・ラベル・乾燥剤も要ります。分包は1包の包材費が小さいかわりに、90回分の充填工程がかかります。
この構造のため、1包の入数が少ないほど分包が不利になります。1包1粒なら180包、1包3粒なら60包。同じ製品でも包数で原価が変わります。
配送費まで入れると変わる
EC・定期購入が中心の場合、配送費が無視できません。
- ボトル──硬質容器で体積を取る。宅配便のサイズ区分が上がりやすい
- 分包──平たく収まる。ポスト投函のサイズに収まれば配送費が大きく下がる
ポスト投函に収まるかどうかは、1件あたり数百円の差になります。月1回の定期購入なら、年間で数千円。製品原価の差を上回ることがあります。
また、不在再配達が発生しないため、オペレーションの負荷も下がります。包装形態の選択は、原価表だけでは判断できません。
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見積りを取るときの注意
単位を揃えないと比較になりません。
| 揃えること | 揃えないと起きること |
|---|---|
| 製品1個あたりの単価 | 「100個」が製品100個か100包か分からない |
| 1日摂取量 | 1日2粒と3粒では日数が変わる |
| 日数(30日分/90日分) | 商品設計が違えば比較にならない |
| ラベルの仕様 | 色数・箔押しで数円変わる |
| 外装の有無 | 化粧箱の有無で大きく変わる |
とくに最初の項目です。「100個から」という表記が何を指すかは会社によって違います。当社の錠剤は、180粒入りボトルで100本(約18,000粒)を最小の目安としています。
続けやすさという変数
原価とは別に、継続率という要素があります。
分包は1回分が明確で、持ち歩きやすく、飲み忘れに気づきやすい形です。ボトルは自分で数える必要があり、外出先では持ち出しにくくなります。
定期購入を前提とする製品では、継続率が1か月変わるだけで売上への影響は原価差を上回ります。原価が数円高くても、続けてもらえるほうが事業としては有利という判断もありえます。
逆に、店頭販売で容量感を訴求したい場合はボトルが向きます。どちらを選ぶかは、売り方から逆算するのが実務的です。
よくある質問
Q. 途中で包装形態を変えられますか?
A. 変えられますが、充填設備が変わるため製造の前提が変わります。安定性試験も包装ごとの結果なので、やり直しになることがあります。初回で決めておくほうが損失が小さくなります。
Q. 両方を展開できますか?
A. 可能ですが、それぞれに最小ロットと段取りが発生します。中身が同じでも、包装が違えば別製品として扱われます。初期は一方に絞り、売れ行きを見てから広げる流れが現実的です。
Q. 分包のほうが衛生的ですか?
A. 1回分ずつ密封されるため、開封後の湿気や酸化の影響を受けにくくなります。吸湿しやすい中身では、品質保持の面で有利です。
Q. 粉末は分包でないとだめですか?
A. 大袋にスプーンを入れる形もあります。計量の手間と、1回量の正確さとのトレードオフです。飲む人がどこで誰に向けて飲むかで決まります。
売り方から逆算して包装を決めます
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