協力工場に委託する側の責任|下請法と品質の両面から

関連法規

最終更新: 2026年10月22日 | 監修: 天丸製薬 法規制コンプライアンス室

協力工場に製造を委託するとき、委託する側にも守るべきことがあります。下請法の対象になる場合があり、発注書面の交付や支払期日に決まりがあります。本記事では、委託元が負う責任を実務の形で整理します。

💡 製造を委託する側には、法令上の義務と品質上の責任の両方があります。法令面では、取引の規模によって下請代金支払遅延等防止法(下請法)の対象となり、発注内容を書面で交付すること、支払期日を守ること、不当な減額や返品をしないことが求められます。品質面では、委託先が作った製品であっても、出荷判定と最終的な責任は委託元が負います。「任せた」では済みません。

⚡ この記事のポイント

  • 下請法の対象になる場合、発注書面の交付が義務
  • 支払期日は受領日から60日以内。これを超えると違反
  • 委託元都合の仕様変更で生じた費用を一方的に負担させない
  • 品質の最終責任は委託元。記録を取り寄せられる体制にする
  • 委託先の技術情報を目的外に使わない

下請法の対象になるか

下請法は、資本金の区分と取引の内容で適用が決まります。製造委託は対象となる取引類型の一つです。

自社が親事業者にあたる場合、次が義務になります。

義務内容
書面の交付発注内容・数量・納期・代金・支払期日を直ちに書面で
書類の作成・保存取引の記録を作成し2年間保存
支払期日を定める受領日から60日以内のできる限り短い期間
遅延利息支払が遅れた場合の利息

そして、禁止される行為があります。

  • 受領拒否、支払遅延、代金の減額
  • 返品、買いたたき
  • 購入・利用の強制
  • 報復措置、不当な経済上の利益の提供要請
  • 不当な給付内容の変更・やり直し

最後の項目が、OEMで起きやすい論点です。委託元の都合で仕様を変えた場合、それに伴う費用を委託先に一方的に負担させることはできません。

品質の責任は委託元に残る

製造を委託しても、最終的な出荷判定と責任は委託元に残ります。「委託先が作ったから」は通りません。

そのため、次を契約の段階で決めておきます。

  1. 規格と判定基準──何を満たせば合格か
  2. 検査の分担──どちらが何を測るか
  3. 記録の取り寄せ──製造記録をいつでも確認できるか
  4. 不適合時の処置──誰が判断し、費用はどう分担するか
  5. 変更の通知──委託先が原料・工程を変える場合の事前通知

5番目が抜けやすい項目です。委託先が原料メーカーを変更した場合、アレルゲン情報や原産地が変わることがあります。表示に影響するため、通知の義務を契約に入れておきます。

📋 当社の委託に関する方針はコンプライアンス方針に公開しています。

技術情報の扱い

委託先から提供を受けた技術情報やノウハウを、目的外に使わないことも守るべき点です。

  • 委託先の処方ノウハウを、他の委託先に流用しない
  • 工程条件を、自社の内製化に転用しない(合意がある場合を除く)
  • 委託先の原料調達先を、直接取引に切り替えない

逆に、委託元が開示した情報についても同様です。お客様から開示された処方や販売計画は、受託業務の目的以外に使わず、第三者に開示しません。双方向の守秘が前提です。

当社の運用

当社は、錠剤を自社工場で製造し、カプセル・粉末・ドリンク・ゼリーを協力工場に委託しています。委託する側として、次を守っています。

  • 発注内容・数量・納期・代金・支払期日を書面で明確にする
  • 支払期日を遵守し、合理的理由のない減額・返品・やり直しを求めない
  • 当社都合の仕様変更で生じた費用を、一方的に負担させない
  • 協力工場から提供を受けた技術情報を、目的外に使用しない

また、どの剤形をどこで製造するかは、お見積りの段階で明示しています。発注される側としても、自社の製品がどこで作られるかを把握しておく必要があるためです。

よくある質問

Q. 口頭の発注でもよいですか?

A. 下請法の対象となる取引では、発注内容を書面(または電子的方法)で直ちに交付する義務があります。口頭のみで進めると、内容の食い違いが生じたときに双方が困ります。

Q. 試作の費用も対象になりますか?

A. 製造委託の一部として発注する場合、同様に扱われます。無償で何度も試作を求めることは、不当な経済上の利益の提供要請にあたる可能性があります。

Q. 委託先の工場名を顧客に伝えられますか?

A. 守秘義務契約の内容によります。一般には公開の場では出さず、商談が具体化した段階で個別に説明する運用が多く見られます。

Q. 委託先でトラブルが起きたら誰が対応しますか?

A. お客様への窓口は委託元です。原因究明は委託先と連携して行いますが、報告と対応の責任は委託元が負います。この分担を契約で明確にしておきます。

どこで作るかを見積り段階で明示します

自社製造と協力工場の線引き、品質の確認方法、記録の扱いまでご説明します。

  • ✅ 剤形ごとの製造場所を見積り時に明示
  • ✅ 委託に関する方針はコンプライアンス方針に公開
  • ✅ 錠剤は自社工場で製造、設備は型式まで公開
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関連ページ:製造体制 / コンプライアンス方針 / 自社工場・製造設備

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