OEMメーカーの自社製造と協力工場|剤形ごとの線引きを読み解く

基礎知識

最終更新: 2026年10月13日 | 監修: 天丸製薬 製造技術グループ

OEMメーカーに見積りを依頼すると、剤形によって納期も最小ロットも大きく変わることがあります。その背景には、その会社が自社で作っている剤形と、協力工場に委託している剤形の違いがあります。本記事では、発注する側が製造体制をどう読み解けばよいかを整理します。

💡 OEMメーカーが全剤形を自社で製造していることは、ほとんどありません。錠剤・カプセル・粉末・ドリンク・ゼリーはそれぞれ専用の設備を必要とし、一社ですべてを揃えるには相当の投資が要るためです。多くの会社は得意な剤形を自社で持ち、残りを協力工場に委託しています。これ自体は業界の標準的な形であり、問題ではありません。確認すべきは、その線引きが明示されているかどうかです。

⚡ この記事のポイント

  • 全剤形を自社設備で製造できる会社は稀。協力工場の活用は業界標準
  • 剤形ごとに専用設備が必要で、打錠機とドリンク充填ラインは別物
  • 自社製造か委託かで、納期・最小ロット・トラブル時の経路が変わる
  • 線引きが明示されていない場合は、剤形ごとに質問して確認する
  • 委託先の設備一覧が載っていないのは、むしろ妥当な場合がある

なぜ一社で全剤形を作れないのか

剤形ごとに必要な設備はまったく異なります。

剤形 主に必要な設備
錠剤混合機、打錠機、研磨・除塵機、金属検出機、外観検査、包装ライン
ハードカプセル混合機、カプセル充填機、選別機、重量検査機
ソフトカプセル皮膜調製設備、ロータリーダイ成形機、乾燥設備
粉末・顆粒混合機、造粒機、乾燥機、粉砕機、スティック・分包充填機
ドリンク調合タンク、ろ過設備、充填機、キャッパー、殺菌設備
ゼリー・グミゲル化調合タンク、脱気設備、充填機、冷却設備

打錠機を持っていても、ドリンクは作れません。液体を扱う設備は、水まわりの衛生管理も殺菌の考え方も別の体系です。すべてを自社で揃えようとすると、設備投資だけでなく、各ラインを動かす人員と手順も必要になります。

だから多くのOEMメーカーは、得意な剤形を自社で持ち、残りを協力工場に委託する形をとります。発注側から見れば窓口は一つなので、違いが見えにくいだけです。

自社製造と委託で何が変わるか

どちらが良いという話ではありません。性質が違うので、知っておくと見積りの読み方が変わります。

項目 自社製造 協力工場への委託
納期自社の生産枠で調整できる委託先の枠に依存する
最小ロット比較的柔軟に相談しやすい委託先の設定に従う
試作の回数回しやすい往復が増えやすい
仕様変更現場と直接調整できる間に一社入る
トラブル時自社で原因究明委託先と連携して対応
設備の説明型式まで説明できる一般的な説明にとどまることが多い

とくに試作の往復は、スケジュールに効いてきます。味や粒サイズを詰める段階で、自社ラインなら数日で次の試作が出ますが、委託だと委託先の枠待ちになることがあります。

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どう確認すればよいか

サイトに書かれていない場合は、見積り依頼のときに一言聞けば済みます。

  1. 「この剤形は御社の工場で作りますか、協力工場ですか」
  2. 委託の場合、納期と最小ロットが委託先の条件で決まるか
  3. 試作の往復にどれくらいかかるか
  4. トラブルが出たとき、どこが原因究明にあたるか

なお、委託先の設備一覧がサイトに載っていないこと自体は、むしろ妥当な場合があります。委託先の構成は案件ごとに変わりますし、他社の設備を自社のものとして一覧に並べれば、それは実態と違う表示になります。載っていないことより、聞いたときに答えられるかどうかを見てください。

剤形から逆算して選ぶ

発注側の実務としては、作りたい剤形を得意とする会社を選ぶのが合理的です。

  • 錠剤・チュアブル中心なら、打錠設備を自社に持つ会社
  • ドリンク中心なら、充填・殺菌ラインを自社に持つ会社
  • 複数剤形を同時展開するなら、窓口が一本化されることの価値が大きい

複数剤形を一社にまとめると、進行管理が楽になる一方、剤形によって納期の読みが変わります。どれが自社でどれが委託かを把握しておくと、スケジュールを立てやすくなります。

当社の場合
天丸製薬は、錠剤を大阪の自社工場で製造しています。混合(LDTH-200)、打錠(ZP-265)、研磨・除塵(SZS-230)、金属検出(IMD-IIS-M)、外観検査(YJX-220B)、包装までの一貫ラインです。カプセル・粉末・ドリンク・ゼリーは、GMP準拠設備をもつ協力工場で製造します。設備の型式・寸法と製造フロアの区画は自社工場のページに掲載しています。

よくある質問

Q. 協力工場で作ると品質は落ちますか?

A. 委託そのものが品質を下げるわけではありません。重要なのは、委託元が規格と検査基準を定め、成績書で確認したうえで出荷判定しているかどうかです。委託の有無より、判定の手順を確認してください。

Q. 委託先の工場名は教えてもらえますか?

A. 守秘義務契約があるため、公開の場では出さないのが通例です。ただし商談が具体化した段階で、対応する工場の条件や体制について個別にご説明するのが一般的です。

Q. 途中で剤形を変更できますか?

A. 変更できますが、処方設計からやり直しになります。錠剤から粉末へ、粉末からドリンクへといった変更は、賦形剤の構成も溶解性の設計も変わります。試作前の段階で決めておくほど、手戻りが小さくなります。

Q. 自社製造の剤形のほうが安くなりますか?

A. 一概には言えません。委託先の設備が大型で量産効率が高ければ、大ロットでは委託のほうが安くなることもあります。小ロットや試作の往復が多い案件では、自社製造のほうが小回りが利きます。

どの剤形をどこで作るか、先にお伝えします

見積りの段階で、自社製造と協力工場の線引きを明示します。剤形がまだ決まっていない段階でも、ご相談いただけます。

  • ✅ 錠剤・チュアブルは自社工場で一貫製造
  • ✅ その他剤形はGMP準拠設備の協力工場で対応
  • ✅ 設備は型式・寸法まで公開(自社工場・製造設備)
  • ✅ 初回小ロット100個から、強引な営業なし

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