最終更新: 2026年10月25日 | 監修: 天丸製薬 法規制コンプライアンス室
健康食品の広告で薬機法の次に効いてくるのが健康増進法です。薬機法が「医薬品的な効能」を禁じるのに対し、こちらは「著しく事実に相違する表示」を禁じます。両者は重なりつつ別の条文であり、どちらにも触れない設計が必要です。
💡 健康増進法第65条は、食品の健康保持増進効果等について「著しく事実に相違する表示」または「著しく人を誤認させる表示」を禁じています。薬機法が表現そのものの医薬品性を問うのに対し、こちらは表示内容と実際の差を問います。つまり同じ文言でも、根拠があるかどうかで判断が変わります。所管は消費者庁で、景品表示法とあわせて運用されています。
⚡ この記事のポイント
- 薬機法は「表現の医薬品性」、健康増進法は「表示と事実の差」を問う
- 「著しく」の判断は、一般消費者がどう受け取るかで決まる
- 体験談・ビフォーアフターは、全体の印象で評価される
- 打消し表示を小さく置くと、かえって誤認の根拠になる
- 景表法・薬機法と重複適用される。どれか一つを避ければよいのではない
薬機法との違い
| 薬機法(第68条) | 健康増進法(第65条) | |
|---|---|---|
| 何を問うか | 表現が医薬品的か | 表示と事実の差 |
| 根拠があれば使えるか | 🔴 いいえ。医薬品的表現は根拠があっても不可 | 🟡 根拠次第で変わる |
| 所管 | 厚生労働省・都道府県 | 消費者庁 |
| 典型例 | 「血圧を下げる」「糖尿病に効く」 | 「飲むだけで誰でも10kg減」 |
重要なのは2段目です。薬機法に触れる表現は、臨床試験の結果があっても食品では使えません。一方、健康増進法の判断は根拠の有無で動きます。
このため「エビデンスがあるから大丈夫」は片方にしか効きません。両方を別々に確認する必要があります。
「著しく」の判断
条文の「著しく」は、程度の問題ではなく一般消費者の受け取り方で判断されます。
- 表示全体から受ける印象で評価される(一文だけ切り出して判断しない)
- 打消し表示があっても、本文の印象を覆せなければ考慮されない
- 画像・図表・体験談も表示に含まれる
とくに2番目です。大きな文字で「2週間で実感」と書き、小さな文字で「個人の感想です」と添える構成は、打消しとして機能しないと判断されることがあります。消費者庁は打消し表示の実態調査を行っており、文字の大きさ・配置・本文との距離が評価対象になっています。
📋 当社の遵守法令はコンプライアンス方針に公開しています。
起きやすいパターン
| パターン | 何が問題か |
|---|---|
| 体験談を主役にする | 一人の結果を一般的な効果に見せる |
| ビフォーアフター写真 | 撮影条件・期間・併用の有無が不明 |
| 「〇%が実感」 | 母数・調査方法・質問文が示されていない |
| 研究データの流用 | 素材の研究結果を製品の効果として示す |
| 医師・専門家の推薦 | 推薦の形で効能を示唆する |
| 「〇〇に悩む方へ」 | 疾病への効果を示唆する構成になりうる |
4番目は見落とされやすい論点です。原料メーカーが提供する研究データはその素材についてのものであり、配合量が違う自社製品の効果を示すものではありません。素材の研究をそのまま製品の訴求に使うと、表示と事実の差が生じます。
3法が重複して適用される
一つの広告に、複数の法令が同時に適用されます。
- 薬機法──医薬品的な効能効果を示していないか
- 健康増進法──健康保持増進効果が事実と著しく違わないか
- 景品表示法──優良誤認・有利誤認にあたらないか
- 食品表示法──容器包装の義務表示が満たされているか
「薬機法のチェックは通した」で済まないのはこのためです。どれか一つを避けても、別の条文で問題になります。
実務上は、①医薬品的表現がないか ②示した効果に根拠があるか ③根拠を15日以内に出せるか ④打消し表示に頼っていないか、の4点を順に確認すると漏れが減ります。
よくある質問
Q. 「個人の感想です」と書けば体験談は使えますか?
A. 表記があることで自動的に適法になるわけではありません。表示全体の印象が一般的な効果を示していると受け取られれば、打消しとして機能しないと判断されることがあります。
Q. 原料メーカーの資料をそのまま使えますか?
A. 素材の研究データは、その素材に関するものです。自社製品の配合量・剤形での効果を示すものではないため、製品の訴求根拠として使うには注意が必要です。
Q. SNSの投稿も対象になりますか?
A. 対象になります。媒体を問わず、表示として評価されます。インフルエンサーへの依頼投稿では、ステルスマーケティング規制も併せて確認が必要です。
Q. 製造会社は広告の責任を負いますか?
A. 表示の主体は販売者です。ただし当社は、受注段階で明らかに問題のある表現をご相談いただいた場合、懸念をお伝えします。訴求が成立しない設計のまま製造を進めても、双方の損失になるためです。
訴求の方向から一緒に確認します
何を言いたいかが決まっていれば、どの制度で言えるか・言えないかを先に整理できます。
- ✅ 薬機法・健康増進法・景表法を分けて確認
- ✅ 遵守法令はコンプライアンス方針に公開
- ✅ 言えない表現は率直にお伝えします
- ✅ 初回小ロット100個から、強引な営業なし
関連ページ:コンプライアンス方針 / OEM/ODM開発サービス / 品質方針・責任体制
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