子供向け健康食品は機能性表示食品にできない|使える表示と栄養機能食品という選択肢

関連法規

最終更新: 2026年10月9日 | 監修: 天丸製薬 製造技術グループ

「成長期の子供向けサプリを作りたい」というご相談は年々増えています。ところが、この企画には大人向けにはない制度上の壁があります。機能性表示食品の届出ができないのです。本記事では、子供向け健康食品で使える表示と使えない表示を、制度の条文に沿って整理します。

💡 子供向け健康食品では、機能性表示食品の届出ができません。食品表示基準(内閣府令)が機能性表示食品の対象者を「疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む。)及び授乳婦を除く。)」と定めているためです。未成年者向けと銘打った製品は、この制度による機能性の訴求ルートが制度上閉じています。代わりに使えるのが、規格基準を満たせば定型文を表示できる栄養機能食品です。

⚡ この記事のポイント

  • 機能性表示食品の対象者から未成年者は明文で除外されている(食品表示基準)
  • 「身長を伸ばす」は身体の構造・機能への作用にあたり、食品では標ぼうできない
  • 規制の対象はパッケージだけでなく、LP・SNS・インフルエンサーの発言を含む広告全体
  • 栄養機能食品なら、カルシウム・ビタミンDなどで国が定めた定型文が使える
  • 定型文を使うには規格基準の範囲内に配合する必要があり、処方設計の段階から織り込む

機能性表示食品は未成年者向けに使えない

機能性表示食品は、事業者の責任で科学的根拠に基づく機能性を表示できる制度です。トクホと違って国の個別審査がなく、届出で足りるため、ここ数年で健康食品の主要な選択肢になりました。

ただし対象者が限定されています。食品表示法に基づく食品表示基準(内閣府令)は、機能性表示食品を「疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む。)及び授乳婦を除く。)」に対する表示として定義しています。

つまり未成年者は制度の対象から明文で外れています。「子供向け」として企画した製品は、機能性表示食品としての届出そのものができません。ここを知らずに処方と訴求を固めてしまうと、パッケージ入稿の直前で設計をやり直すことになります。

「身長を伸ばす」が使えない理由

子供向けサプリで最も多い訴求が「身長」です。しかし身長への作用は身体の構造・機能に対する影響にあたり、食品がこれを標ぼうすると医薬品とみなされます。根拠は医薬品医療機器等法(薬機法)と、その運用を示した昭和46年通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」です。

健康増進法第65条(誇大表示の禁止)、景品表示法第5条第1号(優良誤認)にも同時に関わります。どれか一つをクリアすれば済む話ではありません。

そして規制の対象はパッケージだけではありません。商品LP、SNS投稿、インフルエンサーの発言、アフィリエイト記事を含む広告全体が表示として扱われます。パッケージの文言だけを法務チェックしても、広告側で同じ主張をしていれば意味がありません。

インフルエンサー起用で注意すること

2023年10月、景品表示法の指定告示によっていわゆるステルスマーケティング規制が始まりました。事業者の広告であるにもかかわらず、第三者の自主的な感想であるかのように見せる表示が禁止されています。

重要なのは、責任を負うのは発注者である広告主だという点です。インフルエンサーが独自の判断で「これを飲んだら背が伸びた」と発言した場合でも、広告主の表示として扱われる可能性があります。

実務上は、起用時に「言ってよい表現・ダメな表現」のレギュレーションを文書で渡し、投稿前に確認する運用が一般的です。子供向け製品は保護者の判断に影響するため、この管理は大人向け以上に重要になります。

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使える道──栄養機能食品

では子供向けでは何も言えないのかというと、そうではありません。栄養機能食品という選択肢があります。

栄養機能食品は、国が定めた規格基準の範囲内に栄養成分を配合すれば、あらかじめ定められた定型文をそのまま表示できる制度です。届出も審査も不要で、年齢による対象者の制限もありません。

成分 表示できる文言(定型文) 1日摂取目安量の基準
カルシウム カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。 250mg〜600mg
ビタミンD ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。 規格基準値を要確認

「身長」とは言えませんが、「骨や歯の形成に必要」「骨の形成を助ける」は国が定めた文言としてそのまま使えます。成長期の製品という文脈では、実質的に機能します。

注意点は、定型文を一字一句そのまま表示する必要があることと、配合量が上下限の範囲内でなければならないことです。下限を下回っても上限を超えても表示できません。処方設計の段階で基準量を織り込んでおく必要があります。

なお規格基準値は改正されることがあります。実際の設計時は、消費者庁が公表している最新の表で確認してください。

処方を決める前に整理しておくこと

子供向け製品では、表示方針が処方設計を規定します。順序を逆にすると手戻りが大きくなります。

  • 訴求軸を先に決める──栄養機能食品の定型文を使うのか、成分の配合事実のみを伝えるのか
  • 定型文を使うなら規格基準量を処方に反映する──後から配合量を変えると味・粒サイズ・崩壊性に影響します
  • 剤形を子供の摂取条件に合わせる──チュアブルなら水なしで噛めますが、粒を小さく薄く設計する必要があり、同じ重量でも粒数が増えます
  • 広告のレギュレーションを誰が作るか決める──発注者責任である以上、製造側に任せきりにはできません

よくある質問

Q. 「子供向け」と書かなければ機能性表示食品にできますか?

A. 表示上の体裁だけ変えても、実質的に未成年者を対象とした製品であれば制度の趣旨に反します。パッケージデザイン・広告・販売チャネルの全体から対象者が判断されますので、名目だけの回避は現実的ではありません。

Q. 栄養機能食品の定型文は変えられますか?

A. 変えられません。定められた文言をそのまま表示する必要があります。言い換えたり語尾を変えたりすると、規格基準型の表示として認められなくなります。

Q. EAAやプロテインでは栄養機能表示はできませんか?

A. アミノ酸・たんぱく質は栄養機能食品の規格基準成分に含まれていません。訴求に栄養機能表示を使いたい場合は、カルシウムやビタミンDなど基準のある成分を併せて配合する設計を検討します。

Q. 製造前にどこまで表示を固めておくべきですか?

A. 訴求軸と、定型文を使うかどうかは処方確定より前に決めてください。配合量が変わると味・粒サイズ・崩壊性の設計をやり直すことになり、試作からの差し戻しになります。

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