最終更新: 2026年10月14日 | 監修: 天丸製薬 製造技術グループ
「最小ロットはいくつですか」と聞くと、剤形によって答えが大きく違います。錠剤は100個から、ドリンクは5,000本から、といった具合です。この差は商習慣ではなく、設備の構造から来ています。本記事では、なぜそうなるのかを工程から説明します。
💡 最小ロットは、設備が「一度に動かせる最小の量」で決まります。混合機は容器の容量に対して一定量以上入れないと均一に混ざらず、打錠機や充填機は段取りと立ち上げに一定量を消費します。この最小単位が剤形ごとの設備で違うため、最小ロットも変わります。数量を減らす交渉より、どの剤形なら小さく始められるかを知るほうが実務的です。
⚡ この記事のポイント
- 最小ロットは設備の最小稼働単位から決まる
- 混合機は容量に対して少なすぎると均一に混ざらない
- 立ち上げ・段取り・清掃はロット数に関係なく発生する
- 液体系は配管に残る量があるため最小が大きくなりやすい
- 小さく始めたいなら、剤形の選択が最も効く
混合機には「少なすぎる」がある
粉体を均一に混ぜるには、容器の中で粉が動く余地が要ります。容量に対して量が少なすぎると、粉が底に溜まって動かず、かえって混ざりません。多すぎても同じく動かなくなります。
当社の自社工場で使っているLDTH-200はリフティング式の混合機で、容器ごと持ち上げて反転させる方式です。この種の混合機では、容器容量に対する適正な充填率があり、その下限が「これ以上少なくできない量」になります。
有効成分が微量な処方では、ここがさらに効きます。1粒に0.5mgしか入らない成分を数万粒分に均一に配るには、賦形剤と段階的に混ぜる予備混合が必要で、各段階で最小量が発生します。
段取りはロット数で割れない
打錠機を1回動かすには、杵と臼の取り付け、重量と硬度の条件出し、試し打ち、そして製造後の分解清掃が必要です。これらは100粒作っても10万粒作っても同じだけかかります。
条件出しの段階で出る錠剤は、規格に入るまで廃棄になります。この分も固定で発生するため、ロットが小さいほど1粒あたりのコストに重くのしかかります。
| 工程 | ロット数に比例するか |
|---|---|
| 原料の計量 | 比例する |
| 機械の段取り・条件出し | 🔴 しない(固定) |
| 打錠・充填の稼働時間 | 比例する |
| 製造後の分解清掃 | 🔴 しない(固定) |
| 製造記録の作成 | 🔴 しない(固定) |
| 外観検査 | 比例する |
📋 剤形別の最小ロットは小ロット対応ページに掲載しています。
液体系は最小が大きくなる
ドリンクやゼリーの最小ロットが大きいのは、配管に残る量があるためです。
調合タンクで作った液は、配管とポンプを通って充填機に送られます。この経路に充填されずに残る分は、量が少ないほど比率が高くなります。100本分だけ作ると、配管に残る量のほうが多い、という事態が起こります。
さらに殺菌工程では、一定の流量と時間を保つ必要があります。少量では条件が安定しないため、技術的に小さくできません。これは交渉で動く話ではなく、設備の制約です。
小さく始めるなら剤形から
テスト販売やクラウドファンディングで数量が読めない場合、剤形の選択が最も効きます。
- 錠剤──固形で工程が短く、小ロットに向きます。当社では180粒入りボトル100本(約18,000粒)から
- ハードカプセル──錠剤に近い構造。充填量で数量が変わります
- 粉末・分包──充填機の段取りがあるため、包数で下限が決まります
- ドリンク・ゼリー──液体系のため最小が大きくなります
同じ成分でも、剤形を変えれば初期ロットを数分の1にできることがあります。「この成分で小さく試したい」という相談なら、剤形から提案できます。
よくある質問
Q. 最小ロット以下で作ってもらえませんか?
A. 剤形によっては特別対応できる場合がありますが、固定費が同じだけかかるため単価は割高になります。まずは適した剤形を選ぶほうが、同じ予算で多く作れます。
Q. 最小ロットは何の単位ですか?
A. ここが会社によって違うので確認が必要です。製品個数(ボトル何本)なのか、粒数なのか、重量(kg)なのかで意味が変わります。当社の錠剤は180粒入りボトル100本=約18,000粒を目安としています。
Q. 2回目から数量を増やせますか?
A. 増やせます。ただし大きく増やす場合は、混合や打錠の条件を量産機で再確認します。試作と量産で条件が変わるため、移行時に検証の工程が入ります。
Q. 複数の味を少しずつ作れますか?
A. 可能ですが、味ごとに段取りと清掃が発生します。3種類を少量ずつ作ると、段取りが3回分かかります。同じ総数量でも単価は上がります。
小さく始める設計からご相談ください
作りたい成分と予算から、どの剤形でどれだけ作れるかをご提案します。
- ✅ 錠剤は180粒入りボトル100本(約18,000粒)から
- ✅ 設備は型式・寸法まで公開(自社工場・製造設備)
- ✅ 見積もりシミュレーターで剤形別の概算
- ✅ 強引な営業はしません
関連ページ:小ロット対応 / 自社工場・製造設備 / 見積もりシミュレーター
同じカテゴリの記事
剤形の選び方、ロット、原価の考え方など、まだ形になっていない段階でも構いません。
初回のご相談・お見積りは無料です。