最終更新: 2026年10月19日 | 監修: 天丸製薬 研究開発・原料調達グループ
原料を選ぶとき、営業資料ではなく規格書を見ます。そこに書かれた数値が、表示値の根拠になり、処方の前提になります。本記事では、規格書と分析成績書で何を確認するかを整理します。
💡 規格書は「この原料はこういう仕様です」という約束で、分析成績書(COA)は「このロットを測ったらこうでした」という実測結果です。規格書は品目ごとに一つ、COAはロットごとに発行されます。確認すべきは、規格書の規格値が自社の処方設計に足りるか、そしてCOAの実測値が規格の範囲に入っているかです。両者を混同すると、規格値を実測値のように扱ってしまいます。
⚡ この記事のポイント
- 規格書は品目の約束、COAはロットの実測。別の書類
- 規格値をそのまま表示値の根拠にはできない
- 「〇〇エキス」の表記だけでは中身が分からない。担体と比率を確認
- アレルゲン・原産地・残留農薬の記載があるか確認する
- 規格書は改訂される。版数と日付を見る
規格書とCOAは別のもの
| 規格書 | 分析成績書(COA) | |
|---|---|---|
| 何を示すか | 品目の仕様・規格範囲 | そのロットの実測値 |
| 発行の単位 | 品目ごとに1つ | 🔴 ロットごと |
| 数値の意味 | 「〇〇以上」「〇〇〜〇〇」 | 「測ったら〇〇だった」 |
| 使い方 | 処方設計の前提 | 受入判定・表示値の根拠 |
混同が起きやすいのは表示値を決めるときです。規格書に「含量95%以上」と書いてあっても、実際のロットが96%なのか99%なのかは分かりません。表示値の根拠には実測値が必要です。
「エキス」の中身を確認する
最も確認が必要なのがエキス末です。「〇〇エキス末」という名前だけでは、何がどれだけ入っているか分かりません。
- 抽出比率──原料何kgから1kgを得たか(10:1、20:1など)
- 規格成分と含量──指標成分が何%含まれるか
- 担体──デキストリン、乳糖など。何%か
- 抽出溶媒──水、エタノールなど
- 部位──根、葉、果実など。同じ植物でも部位で成分が違う
担体の比率は原価に直結します。同じ「エキス末1kg」でも、担体が30%か70%かで有効成分量が倍以上違います。価格だけを比べると判断を誤ります。
また、担体のデキストリンや乳糖は原材料名表示に出ることがあり、アレルゲンにも関わります。
📋 規格書の読み合わせからご相談いただけます。お問い合わせ
確認する項目
| 項目 | なぜ見るか |
|---|---|
| 品名・規格 | 同名でも規格が違うことがある |
| 指標成分と含量 | 処方の配合量計算の基礎 |
| 性状・粒度 | 打錠性・流動性に影響する |
| 微生物規格 | 製品の微生物基準を満たせるか |
| 重金属 | 基準値内か |
| 残留農薬 | 植物由来では必須の確認 |
| アレルゲン | 🔴 表示に直結する |
| 原産地 | 表示と供給リスクの両方に関わる |
| 保管条件・使用期限 | 在庫の持ち方が決まる |
| 版数・発行日 | 🟡 古い版を使っていないか |
最後の項目です。規格書は改訂されます。数年前に受け取った規格書のまま設計を進めると、現行の仕様と違っていることがあります。処方を確定する時点で、最新版を取り直してください。
記載がないとき
規格書に項目がない場合、「問題ない」ではなく「確認していない」です。
- アレルゲンの記載がない → 原料メーカーに照会する
- 残留農薬の記載がない → 検査しているか確認する
- 原産地の記載がない → 表示が必要なら確認する
とくにアレルゲンは、記載がないまま進めると表示漏れにつながります。「含まない」という記載と、「項目自体がない」ことは違います。
当社の運用
当社では、原料の受入時に規格書とCOAを確認し、ロット番号とともに記録しています。製品のトレーサビリティは、ここが起点になります。
処方設計の段階では、お客様が指定された原料の規格書を確認し、設計上の制約があればお伝えします。打錠性が悪い、吸湿性が高い、配合量に対して担体が多いといった点は、規格書から事前に分かることがあります。
よくある質問
Q. 規格書はもらえますか?
A. 原料メーカーの許諾範囲で提供できます。原料メーカーが開示を制限している場合もあるため、必要な項目を伺って個別に対応します。
Q. COAはロットごとにもらえますか?
A. ご要望に応じて提供します。製造ロットと使用原料ロットの対応も記録しています。
Q. 安い原料と高い原料の違いは規格書で分かりますか?
A. 多くの場合分かります。指標成分の含量、担体の比率、抽出比率を比べると、価格差の理由が見えます。同名の原料でも中身が違うことが珍しくありません。
Q. 原料を自分で手配して持ち込めますか?
A. 規格書とCOAをご提供いただければ検討できます。ただし打錠性の確認が必要なため、試作での確認が前提になります。
規格書から設計上の制約をお伝えします
指定の原料で成立するか、担体が多すぎないか。規格書の段階で分かることがあります。
- ✅ 受入時に規格書・COAを確認してロット記録
- ✅ 設計上の制約は事前にお伝えします
- ✅ 分析は外部試験機関に委託(品質方針)
- ✅ 初回小ロット100個から、強引な営業なし
関連ページ:品質管理体制 / 品質方針・責任体制 / OEM/ODM開発サービス
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