試作は何回まわるのか|回数が増える要因と、減らす段取り

基礎知識

最終更新: 2026年10月15日 | 監修: 天丸製薬 製造技術グループ

「試作は何回くらいですか」という質問に、正確に答えるのは難しいものです。3回で決まることもあれば、8回かかることもあります。差を生んでいるのは製造側の腕前より、何が決まっていて何が決まっていないかです。本記事では、回数が増える要因と、減らす段取りを整理します。

💡 試作の回数は、確認する項目の数と、判断する人の数で決まります。1回の試作で味・硬度・粒サイズ・外観をまとめて確認すれば往復は減り、1項目ずつ確認すればその回数だけ往復します。また、評価者が複数いて意見が割れると、決定までに追加の試作が必要になります。回数を減らす最大の方法は、評価の基準と決定者を先に決めておくことです。

⚡ この記事のポイント

  • 標準は3〜6回。項目を1つずつ確認すると倍になる
  • 1回の試作で複数パターンを作ると往復が減る
  • 評価者が多いほど決定が遅れる。決定者を先に決める
  • 味の評価は主観が入るため、基準を言語化しておく
  • 試作と量産で条件が変わるため、移行時に検証が入る

回数が増える3つの要因

① 確認項目を小出しにする

「まず味を見たい」「次に硬さを」「それから色を」と進めると、項目の数だけ往復します。錠剤であれば、1回の試作で次を同時に確認できます。

  • 味(チュアブルの場合)
  • 硬度・噛み砕けるか
  • 粒の大きさ・形状・飲み込みやすさ
  • 外観(色ムラ、表面の状態)
  • 崩壊のしかた

すべてを一度に見て、修正点をまとめて戻すほうが早く収束します。

② 評価者が決まっていない

社内で複数の方が試作品を確認し、意見が分かれると決定が止まります。「もう少し甘く」と「甘すぎる」が同時に出ると、次の試作の方向が定まりません。

最終的に誰が決めるのかを先に決めておくと、この停滞がなくなります。複数人で確認すること自体は問題なく、決定の責任者が一人いればよい、という話です。

③ 基準が言語化されていない

「もう少し」「ちょっと」といった表現では、次の試作で何をどれだけ変えるかが決まりません。可能な範囲で数量化します。

曖昧な表現伝わる表現
もう少し甘く今の1.5倍くらいの甘さ/市販の〇〇と同程度
硬すぎる前歯で噛めない/奥歯なら砕ける程度にしたい
粒が大きい直径を1mm小さく/今の〇〇と同じサイズに
色が気になるもう少し白く/斑点が見えない状態に

市販品を基準に「これと同じくらい」と伝えるのは、とても有効です。現物があれば認識のずれが起きません。

📋 試作の進め方からご相談いただけます。無料相談はこちら

回数を減らす段取り

  1. 初回に複数パターンを作る──甘味の強弱、粒サイズ、フレーバーを変えた2〜3種を一度に。比較できると判断が早くなります
  2. 評価シートを作る──項目ごとに5段階で記録。口頭だと印象が流れます
  3. 決定者を1人決める──意見は複数から集め、決定は1人
  4. 変えない項目を決める──「配合量は動かさない」と決めておけば、味の調整は賦形剤側で行います
  5. 現物の基準を渡す──市販品でも試作品でも、比較対象があると早い

試作と量産は条件が違う

見落とされやすい点として、試作機と量産機で条件は変わります。

混合は容器の大きさで粉の動き方が変わり、打錠は回転速度が違えば圧力の伝わり方が変わります。試作でうまくいった条件を、そのまま量産に持ち込むことはできません。

このため、量産への移行時には条件の再設定と確認が入ります。試作の回数とは別に、この工程の時間を見込んでおく必要があります。納期の見積りでは、試作期間と本生産期間を分けて確認してください。

期間の目安

段階期間の目安
処方設計1〜2週間
試作(1回あたり)1〜2週間
試作全体(3〜6回)1〜3か月
量産移行の条件確認工程に含まれる
本生産(処方確定後・初回)45〜60日
リピート30〜40日

発売日から逆算する場合、試作期間を短く見積もりすぎないことが重要です。ここが圧縮されると、確認を省略することになります。

よくある質問

Q. 試作は無料ですか?

A. 会社によって扱いが異なります。初回のみ無料、回数に応じて費用が発生、本発注時に相殺など様々です。見積り時に、何回まで含まれているかを確認してください。

Q. 試作品をそのまま販売できますか?

A. できません。試作は条件出しのために作るもので、製造記録や検査を本生産と同じ水準では行っていません。販売する製品は本生産で作ります。

Q. 途中で配合を大きく変えたらどうなりますか?

A. 実質的に最初からやり直しになります。配合が変われば硬度も味も崩壊性も変わるためです。方向転換は早い段階ほど損失が小さくなります。

Q. 試作を急いでもらえますか?

A. 製造枠の状況によります。ただし急いで確認を省略すると、本生産後に問題が出たときの損失のほうが大きくなります。スケジュールに余裕がない場合は、確認項目を絞る方向で調整するほうが現実的です。

試作の進め方から整理します

何を確認し、誰が決めるのか。段取りを先に決めると往復が減ります。企画段階からご相談いただけます。

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