最終更新: 2026年9月13日 | 監修: 天丸製薬 製造技術グループ
「原料の味が思ったより強い」──試作段階で最も多く聞く言葉です。健康食品の風味設計は、おいしくすることよりも、まず不快な要素を抑えることから始まります。しかもロットごとに原料の風味は揺れます。本記事では製造技術の現場視点で、香料・フレーバー設計の実務と再現性の担保方法を解説します。
💡 健康食品のフレーバー設計とは、原料由来の苦味・渋み・異臭を抑えつつ、継続摂取に耐える風味を作る設計工程です。香料の選定に加え、甘味料・酸味料・マスキング素材の組合せで構成されます。原料ロットによる風味変動があるため、標準品を定めた官能評価によって再現性を担保することが実務上の要点になります。
⚡ この記事のポイント
- 風味設計はおいしくする前に不快要素を抑える工程
- 香料単独ではなく甘味・酸味・マスキング素材の組合せで設計
- 水溶性香料と粉末香料は剤形により使い分ける
- 原料ロットで風味は変動するため標準品との官能評価が必須
- 天丸製薬の2024年実績:風味設計・甘味調整の対応62件
風味設計が必要になる理由
健康食品の原料には、単独では飲みにくいものが少なくありません。植物エキスの苦味や渋み、藻類の青臭さ、アミノ酸特有の風味、油脂の酸化臭。これらをそのまま製品にすると、継続摂取が困難になります。
風味設計の目的は、まずこの不快要素を許容範囲まで下げることです。おいしさの追求はその次の段階になります。順序を逆にすると、香りは良いのに後味が悪いという状態になりがちです。
設計に使う4つの要素
風味設計は香料だけで行うものではありません。実務では複数の要素を組み合わせます。
たとえば苦味に対しては、甘味で覆うだけでなく、酸味で輪郭を変えたり、香りで注意を逸らしたりする複合的なアプローチが有効です。
| 要素 | 役割 | 設計上のポイント |
|---|---|---|
| 香料(フレーバー) | 香りで印象を作る | 水溶性・油溶性・粉末で使い分け |
| 甘味料 | 苦味を覆う・ボディを作る | 後味の質が製品評価を左右 |
| 酸味料 | 味の輪郭を変える | 苦味・渋みの感じ方を変化させる |
| マスキング素材 | 特定の不快味を抑える | 苦味抑制素材など目的別に選択 |
剤形別の設計方針
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香料の形態は剤形で決まります。
粉末・スティック:粉末香料を用います。水に溶かして飲む前提なら、溶解後の香りの立ち方を評価する必要があります。粉のまま舐める使い方も想定されるなら、両方の状態で確認します。
ドリンク:水溶性香料が中心です。加熱殺菌工程がある場合、香りが飛ぶため、工程後の状態で評価します。
錠剤・チュアブル:口内で崩壊するため風味設計が必須です。打錠時の圧力と熱で香りが変化することがあり、実際の打錠品で確認します。
カプセル:口内で溶けないため、原則として香料は不要です。ただし開封時の内容物のにおいが問題になることがあり、その場合は原料側の対策を検討します。
再現性をどう担保するか
風味設計で最も見落とされやすいのが、ロット間の変動です。植物由来原料は産地や収穫年で風味が変わります。同じ処方でも、原料ロットが変われば仕上がりが変わります。
1. 標準品を定める:合格とした試作品を標準品として保管し、以降のロットはこれと比較評価します。
2. 官能評価を工程に組み込む:複数名での評価とし、評価項目を定型化します。個人の主観に依存しない仕組みが必要です。
3. 許容範囲を明文化する:どの程度の差までを合格とするかを事前に決めておきます。天丸製薬では標準品との比較による官能評価を工程に組み込み、判定基準を明文化しています。
表示上の留意点
香料は原材料表示において「香料」と一括名で表示できる添加物です。ただし、アレルゲンを含む原料に由来する場合は、その旨の表示が必要になります。
また「無香料」「香料不使用」といった訴求を行う場合、処方全体での確認が必要です。原料に含まれる香気成分の扱いも含め、天丸製薬では香料選定と同時に表示案を作成しています。
天丸製薬の風味設計対応実績(2024年)
| 指標 | 天丸製薬 | 備考 |
|---|---|---|
| 風味設計・甘味調整の対応 | 62件 | 官能評価込み |
| 標準品管理 | 合格試作品を保管し比較評価 | ロット間変動に対応 |
| 官能評価 | 複数名・定型項目で実施 | 主観依存を排除 |
| 対応香料形態 | 水溶性・油溶性・粉末 | 剤形により使い分け |
| 小ロット対応 | 100個から | 試作段階から相談可 |
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よくある質問
Q. 原料の苦味は香料だけで消せますか?
A. 香料単独では困難です。実務では香料に加え、甘味料で苦味を覆う・酸味料で味の輪郭を変える・苦味抑制などのマスキング素材を目的別に使う、という複合的なアプローチを採ります。風味設計はおいしくする前に不快要素を許容範囲まで下げる工程です。
Q. 同じ処方なのにロットで味が変わるのはなぜですか?
A. 植物由来原料は産地や収穫年で風味が変わるためです。対策として、合格とした試作品を標準品として保管し以降のロットを比較評価する運用が有効です。天丸製薬では複数名・定型項目の官能評価を工程に組み込み、許容範囲を事前に明文化しています。
Q. 「香料不使用」と表示できますか?
A. 処方全体での確認が必要です。香料は原材料表示で一括名表示が可能な添加物ですが、アレルゲンを含む原料に由来する場合はその旨の表示が必要になります。原料に含まれる香気成分の扱いも含め、天丸製薬では香料選定と同時に表示案を作成しています。
風味・香料設計からご相談ください
原料由来の苦味・異臭のマスキング設計から、標準品を用いた官能評価による再現性の担保まで対応します。試作段階からご相談いただけます。
- ✅ 風味設計・甘味調整の対応62件の実績(2024年)
- ✅ 標準品との比較による官能評価を工程化
- ✅ 剤形に応じた香料形態の選定
- ✅ 初回小ロット100個から、試作段階から相談可



