最終更新: 2026年9月12日 | 監修: 天丸製薬 研究開発・原料調達グループ
乳酸菌・ビフィズス菌に続く第三の菌として注目を集めているのが酪酸菌です。腸内で短鎖脂肪酸を産生するという作用機序の分かりやすさが訴求の軸になる一方、菌株によっては医薬品側に区分されるものがあり、原料選定の初手で食薬区分の確認が欠かせません。本記事では研究開発の現場視点で解説します。
💡 酪酸菌とは、腸内で短鎖脂肪酸のひとつである酪酸を産生する細菌の総称です。芽胞を形成する菌種は熱や酸に比較的強く、製造工程での生残性を確保しやすい特徴があります。ただし菌株によっては医薬品として区分されるものがあるため、健康食品への配合では食品用途で使用可能な菌株かどうかの確認が前提となります。
⚡ この記事のポイント
- 酪酸菌は腸内で短鎖脂肪酸(酪酸)を産生する菌の総称
- 芽胞形成菌は熱・酸に比較的強く生残性を確保しやすい
- 菌株により医薬品側に区分されるものがあり食薬区分の確認が必須
- イヌリン等のプレバイオティクスとの併用設計と相性がよい
- 天丸製薬の2024年実績:菌体素材の配合処方24件
酪酸菌とは何か
酪酸菌は、腸内で食物繊維などを利用して短鎖脂肪酸のひとつである酪酸を産生する細菌の総称です。乳酸菌やビフィズス菌が乳酸や酢酸を主に産生するのに対し、産生する短鎖脂肪酸の種類が異なります。
訴求上の強みは、作用機序の説明のしやすさにあります。「菌が善玉である」という漠然とした説明ではなく、「短鎖脂肪酸を作る」という具体的な働きに落とし込めるため、消費者への説明が組み立てやすい素材です。
原料選定でまず確認すべきこと
酪酸菌の原料選定は、食薬区分の確認から始まります。菌株によっては医薬品として扱われるものがあり、その場合は健康食品に配合できません。
食品用途で使用可能な菌株であることを、原料規格書と食薬区分の照合で確認します。菌名だけでなく菌株レベルでの確認が必要です。
| 確認項目 | 内容 | 設計上のポイント |
|---|---|---|
| 食薬区分 | 食品用途で使用可能な菌株か | 菌株レベルで確認。最優先事項 |
| 芽胞形成 | 熱・酸への耐性 | 製造工程の自由度が上がる |
| 菌数規格 | 原料の保証菌数 | 賞味期限末の保証値から逆算 |
| 原料形態 | 粉末(芽胞)が主流 | 打錠・カプセル・粉末に配合可 |
| 併用素材 | 食物繊維・オリゴ糖 | シンバイオティクス設計 |
配合設計のポイント
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菌体素材の設計で最も重要なのは、賞味期限末での菌数保証です。表示する菌数は製造時ではなく期限末に担保できる値である必要があり、製造時には減衰を見込んだ上乗せ配合を行います。
芽胞を形成する菌株は、熱や酸に比較的強いため、打錠時の圧力や工程中の温度上昇に耐えやすく、剤形の選択肢が広がります。乳酸菌に比べて設計の制約が少ない点は実務上の利点です。
腸活をテーマにする場合、イヌリンや難消化性デキストリンなどのプレバイオティクスと組み合わせるシンバイオティクス設計が有効です。
製造上の留意点
1. 水分活性の管理:菌体素材は水分に弱く、水分活性が高いと生残率が下がります。粉末製品では防湿包材と脱酸素剤を組み合わせ、充填時の環境も管理します。
2. 菌数試験:出荷判定時の菌数試験に加え、安定性試験で経時変化を確認します。表示菌数の根拠になるデータです。
3. 打錠条件:芽胞形成菌でも過度な打錠圧では生残率が落ちます。天丸製薬ではGMP準拠設備で打錠圧と生残率の関係を確認しながら条件を設定しています。
表示上の留意点
菌数を表示する場合、賞味期限末まで保証できる値であることが前提です。製造時の菌数を表示すると、期限間際に表示値を下回るおそれがあります。
腸内環境に関する訴求は表現の幅が限られ、医薬品的な効能効果の標榜は薬機法に抵触します。根拠に基づく訴求を行う場合は機能性表示食品の届出が選択肢です。天丸製薬では食薬区分の確認から届出サポート、広告表現の事前レビューまで提供しています。
天丸製薬の菌体素材の実績(2024年)
| 指標 | 天丸製薬 | 備考 |
|---|---|---|
| 菌体素材 配合処方数 | 24件 | 酪酸菌系含む |
| 菌数保証 | 賞味期限末の保証値から逆算 | 減衰を見込んだ上乗せ配合 |
| 食薬区分確認 | 菌株レベルで実施 | 受託時の標準工程 |
| 打錠条件 | 打錠圧と生残率を確認して設定 | GMP準拠設備 |
| 小ロット対応 | 100個から | 段階的スケール可 |
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よくある質問
Q. 酪酸菌はどの菌株でも健康食品に使えますか?
A. 使えません。菌株によっては医薬品として区分されるものがあるため、食品用途で使用可能な菌株かどうかの確認が最優先事項です。菌名だけでなく菌株レベルで原料規格書と食薬区分を照合してください。天丸製薬では受託時の標準工程としています。
Q. 酪酸菌は乳酸菌と何が違いますか?
A. 産生する短鎖脂肪酸の種類が異なります。乳酸菌やビフィズス菌が乳酸や酢酸を主に産生するのに対し、酪酸菌は酪酸を産生します。訴求上の強みは作用機序の説明のしやすさで、「菌が善玉である」という漠然とした説明ではなく具体的な働きに落とし込めます。
Q. 表示する菌数はいつ時点の値ですか?
A. 賞味期限末まで保証できる値である必要があります。製造時の菌数を表示すると期限間際に表示値を下回るおそれがあるため、製造時には減衰を見込んだ上乗せ配合を行います。芽胞を形成する菌株は熱や酸に比較的強く、乳酸菌に比べて剤形の選択肢が広い点は実務上の利点です。
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